TPPと原発 2012 11 23
2012年11月22日の時事通信社には、このようなニュースがありました。
「日本のLNGコスト低減も、アメリカのシェールガス生産拡大で IEA事務局長」
国際エネルギー機関(IEA)のファンデルフェーフェン事務局長は22日、
都内で講演し、シェールガスの生産拡大により、
アメリカが日本に液化天然ガス(LNG)を輸出するようになれば、
日本の調達コスト低減につながる可能性があるとの認識を示した。
(引用、以上)
日本がTPP(環太平洋経済連携協定)に加盟しなければ、
アメリカは、シェールガスを日本に輸出しないでしょう。
つまり、脱「原発依存」を主張するには、TPP加盟が必須となります。
一方、原子力発電を推進するならば、
アメリカからのシェールガス輸入は必須ではなく、
TPP加盟を急ぐ必要はありません。
そういうわけで、与党民主党の主張も、野党自民党の主張も筋が通っています。
野田氏が率いる民主党は、TPP参加交渉の表明と脱原発依存を打ち出しており、
一方、安倍氏が率いる自民党は、TPP参加は、あいまいですが、原発稼動を主張しています。
特に、民主党の場合は、前回の選挙の時は、「夢」を追求していましたから、
今回は、かなり現実的になったと言えるでしょう。
要するに「見たいところだけ見て、
見たくないところは見ない」という少女漫画の世界から卒業ですか。
それでも与党民主党の選挙は、厳しいでしょう。
多くの有権者は、「マニフェスト詐欺」にあってしまったと思っているからです。
さて、脱原発とシェールガスでは、
国防だけでなく、エネルギーまでも、アメリカ依存となりますので、
日本が、実質的にアメリカの51番目の州になるかもしれません。
いや、近づくと言った方がよいかもしれません。
ペルシャ湾 2012 11 4
将来、アメリカから、
「ペルシャ湾は、日本が自力で守れ」と言われる日が来るでしょう。
現在、ペルシャ湾は、バーレーンに司令部を置く、
アメリカ第5艦隊(空母を含む)が守っていますが、
この体制が、いつまで維持できるか。
アメリカは、いつの間にか、原油輸入の多様化を進め、
原油の中東への依存度は、かなり下がっています。
やがて、アメリカは、中東なしでも、
原油も天然ガスも輸入先に困らないということになるでしょう。
さらに、今、アメリカは、シェールガスやシェールオイルで盛り上がっています。
これは、もしかすると、禁断の果実を口にしたかもしれませんが、
いずれにせよ、アメリカの国内資源は有力です。
つまり、アメリカの中東への関心は下がっていくでしょう。
問題は、アメリカの納税者の動向です。
「巨額の税金を使って、アメリカ第5艦隊を駐留させているが、
これは、税金の無駄遣いではないか」という声も出てくるかもしれません。
そうなると、いったい、どこの国が、
ペルシャ湾の原油や天然ガスを最も利用しているのか。
つまり、最も恩恵を受けている国が、ペルシャ湾を守るべきではないかとなるでしょう。
その国とは、日本です。
相変わらず、日本の政治家は、天下泰平の日々を過ごしているでしょうが、
本当に、のんびりしていていいのか。
親米派の政治家は、「日米軍事同盟があるから大丈夫だ」と言うでしょうが、
はたして、それでアメリカの納税者を納得させることができるのか。
世界は、刻々と変わりつつあるのです。
にもかかわらず、日本の政治家の頭は、終戦直後のままです。